すぐにでも遺言書を作成した方が良いケース③ 内縁のパートナーに財産を遺したい

内縁関係とは婚姻届は出されていないが、実態は法律上の夫婦と変わらず、事実上の夫婦として結婚生活を送っている関係のことをいいます。
時代の変化や個人の考え方の変化に伴い、結婚についてのあり方も多様化しており、内縁関係を選択するカップルも多くいます。

そこで、内縁関係にあるカップルのうちの一人に相続が発生した場合、パートナーは遺産を相続することができるのでしょうか?

目次

内縁のパートナーに相続権はない

まず、内縁のパートナーには相続権はありません

たとえ長い期間、夫婦と変わらない生活を送ってきたとしても、法律上の夫婦と認められないため、財産を相続することができません。

遺言書がないと

この場合、内縁のパートナーは相続人にはならないので、遺言書がない場合、遺産を受け取ることができないことになります

内縁のパートナーに財産を遺す方法

相続人でない内縁のパートナーに財産を遺したいときは、生前贈与をするか、遺贈する旨を遺言書に書き記しておく必要があります

例えば、以下のように遺言をすることで、あなたの死後パートナーに遺産を渡すことができます。

内縁のパートナーに財産を遺贈する場合の文例

「全財産を〇〇〇〇(内縁のパートナーの名前)に包括して遺贈する」

※相続人ではないので、あくまでも「遺贈する」となります。

内縁のパートナーにはどのくらい遺産を渡すことができるのか?

内縁のパートナーに全額遺贈するという遺言書を書くことは可能です。

ただし、被相続人に相続人として子や親または兄弟姉妹がいる場合は、それらの人が相続人となり、そのうち、子と親には遺留分があります(子だけが相続人の場合は遺産の2分の1、親だけが相続人の場合は遺産の3分の1)ので、全額遺贈すると遺言をしたとしても遺留分侵害額請求を受ける可能性がありますので注意が必要です。

被相続人の相続人が兄弟姉妹だけの場合は全額内縁のパートナーに遺贈可能

被相続人に兄弟姉妹がいる場合、兄弟姉妹が相続人となり、財産を全額相続することになります。

ですが、被相続人に子どもも親(祖父母)もおらず、相続人が兄弟姉妹だけである場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言によって全額を内縁のパートナーに渡すことが可能です。

このように何も遺言を遺さないと兄弟姉妹が全額相続することになりますが、内縁のパートナーに遺贈する旨の遺言を遺しておけば、全額パートナーへ渡すことができ、兄弟姉妹には一切金銭を支払う必要はないのです。

遺言書があるのとないのとでは大違い!

内縁の妻との間に子どもがいる場合

原則、内縁の妻とのあいだの子どもには相続権はありません

内縁の妻とのあいだに子どもがいる場合、男性がその子どもを認知しているかどうかで、その子どもが遺産を相続できるかできないのかが変わってきます
父親が認知していれば、その子どもは父親の法定相続人であると認められます。

父親が認知していれば子どもに相続権が与えられる

ですが、認知していない場合は、子どもに相続権はありません。
認知していない場合は、その子どもは内縁の妻の子どもとなり、内縁の妻の戸籍に入ることになります。

遺言で認知することも可能

認知すればいいといっても、そう簡単にはいかないケースもあります。

たとえば、父親が生前に認知することで、父親の家族とトラブルになりそうな場合です。
このような場合には、遺言によってその子どもを認知することができます

認知の効果は遺言の効力発生時(=被相続人の死亡時)に生じるので、家族とのトラブルを避けたい場合は遺言で認知することも検討するとよいでしょう。

遺言で認知する場合の文例

遺言者は、〇〇〇〇(平成〇〇年〇月〇日生、本籍:〇〇県〇〇市〇〇町〇丁目〇番)を認知する。

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