延命治療を受けたくない場合どうすればいい?『尊厳死宣言書』の作成がおすすめ

近年、医学の進歩により、以前であれば命が助からなかったケースでも、助かることが増えてきています。
しかし、命が助かったといってもいわゆる植物状態となり、生命維持装置につながれ延命措置によって命がつながれているということもあります。
現代の医学では延命措置を望めば生き続けることができるケースも多くなっています。

植物状態とは、思考と行動を制御する大脳が機能しなくなったが、視床下部と体温、呼吸、意識などの生命維持に必要な機能を制御している脳幹はまだ機能し続けている状態のことをいい、患者さんは眼を開けて起きているように見えますが、刺激に対して意味のある反応することがない状態をいいます。

本人としては、病気や事故によるケガなどで治療しても治らないと診断され、死が迫っている場合に、延命措置を実施しても、植物状態になってしまったり、つらく苦しい治療を続けるよりは、延命措置は望まず、自然に死を迎えたい(尊厳死)と希望することもあるでしょう

その際に、尊厳死宣言書というかたちで文書にしておかないと尊厳死を実施することが極めて困難になります

目次

尊厳死とは?

尊厳死とは、病気や事故などで回復の見込がない末期状態になった患者本人が、自らの意思で延命措置を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ自然に死を迎えることをいいます。

尊厳死が認められるのは、医学的知見により不治の状態にあり、治る見込がなく死期が迫っていて、人工呼吸器をつけるなどの延命措置が死期を引き延ばすだけという状態にある場合に限られます。

尊厳死を望む場合にするべきこととは?

家族と話し合い理解を得る

尊厳死には必ずしもご家族の同意が必要というわけではありませんが、あなたが意思表示できなくなった場合に、延命措置の中断という最終決断を下すのはご家族となります。

そのため、尊厳死を望む場合の第一歩としては家族と話し合い、家族の理解を得る必要があります。
ご家族は延命治療を望んでいるというケースもあるため、双方が納得できるまでしっかり話し合いましょう。

尊厳死宣言書を作成する

ご家族の理解を得ることができたら「尊厳死宣言書」の作成を行います。

尊厳死宣言書とは?

「尊厳死宣言書」とは、本人が、自らの意思で延命措置を差し控え又は中止し、自然に死を迎えるために、尊厳死を望むという希望を医療関係者らに意思表示するための書面のことで、「リビング・ウィル」とも呼ばれます。
延命措置を拒否するといっても、苦痛を和らげる緩和措置はこの延命措置には含まれないので、尊厳死を希望していても、緩和ケアを希望することは可能です。

なぜ「尊厳死宣言書」が必要なのか?

万が一、あなたが延命措置が必要な状況になり、自分の意思を伝えることができなくなってしまったとしたら、なんの準備もなく、本人の明確な意思が確認できない場合、本人が尊厳死を望んでいたとしても、尊厳死の希望を叶えるのは難しいと言わざるを得ません。

本人としては、病気や事故によるケガなどで治療しても治らないと診断され、死が迫っている場合に、延命措置を実施しても、植物状態になってしまったり、つらく苦しい治療を続けるよりは、延命措置は望まず、自然に死を迎えたいと希望することもあるでしょう。
その際に、尊厳死宣言というかたちで文書にしておかないと尊厳死を実施することが極めて困難になります。

本人に意思が確認できない場合は親族が決断する

尊厳死宣言書がなく、あなたに意思を確認できない場合、延命措置を実施するのか拒否するのかは親族が決断をすることになります。

その際に、医師から決断を迫られた親族はとても重い決断を下すことになります。
親族にとっては延命治療を拒否するということは自分の決断で本人を死亡させることになるためなかなか決断できないでしょう。
家族にとっても、本当に延命措置をやめてしまってよいのか相当迷い、悩むはずです。
愛する家族の運命を決めることに悩み苦しみ、場合によってはその選択をしたことを長い間深く後悔してしまうこともあるでしょう。

医療機関側としても抵抗がある

また、「尊厳死宣言書」がない場合に、延命措置を行わないように要請を受け、それを実施した医師にとっても尊厳死を受け入れることには法的にも心理的にも抵抗があります。

延命措置を中止したことによって同意殺人罪などで訴えられることも考えられるため、法的責任に問われることを恐れてなかなか延命措置の中止に踏み出せないことも考えられます。
また、医師はわずかでも延命の可能性があるのなら治療を行わなければならないという職業倫理もあるため、本人の意思が確認できない状況で進んで尊厳死を受け入れることは通常ありません

親族にしてみれば、はっきりとした意思表示をしてくれていたらどんなによかっただろうと思うことでしょう
尊厳死宣言書を作成することは自分のためにも、さらに愛する家族のためにも非常に有意義なことであり、医療によって延命を行うことができる現代においては不可欠なことともいえます。

どんな人に尊厳死宣言書が必要か?

次のような方には特に尊厳死宣言書の作成をおすすめしています。

  • 無用な延命治療は受けず、自然な最期を迎えたい方
  • 万が一のときに家族に精神的負担をかけたくない方
  • 延命措置をしないようエンディングノートに希望は書いたけれど、実行されるか不安な方

尊厳死宣言書を作成したら必ず実現される?

現在日本では、尊厳死についての法律はないため、この尊厳死宣言書を作成したとしても、そのとおりに実現される保証はありません

しかし、実際に末期状態となり回復の見込みがない場合に尊厳死宣言書を医療機関に提示した場合、9割以上の医療関係者が尊厳死の希望を受け入れたという調査結果もあります(日本尊厳死協会調べ)。
したがって、尊厳死宣言書を作成しておくことで、無用な延命治療を行わず、尊厳死を実現する可能性は高いといえます。

公正証書で作成する方が望ましい

遺言書の場合と同様、本人の意思を明確にしてトラブルを防止するためにも、尊厳死宣言書は「公正証書」で作成することが望ましいといえます。

もし、あなたが病気や事故で回復の見込みがなく死期が迫った場合、延命措置を望みますか?
延命措置を望まないなら「尊厳死宣言書」の作成をご検討ください。

尊厳死宣言書の作成なら行政書士まなべ事務所にお任せください

当事務所では尊厳死宣言書の作成のお手伝いをしております。
少しでも興味を持たれましたら是非一度ご相談ください。

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