遺言書を作成するメリットとは?

目次

遺言書を作成するメリット

遺言書を作成するメリットをご紹介します。

相続の手続きがスムーズに進む

遺言書を作成するメリットとしては、まず「相続の手続きがスムーズに進む」ということが挙げられます。

被相続人が亡くなると、役所への届け出や葬儀など様々な手続きが必要になります。
実際にはそのあとに相続が開始されるわけですが、遺言書があるのとないのとでは手続きの手間は大きく違います

遺言書がないと…

遺言書がない場合、誰が何を相続するのかを遺産分割協議によって決めなければなりません。

相続人は誰なのか、相続財産はどのようなものがあるのかを調査し、「誰が」「何を」「どのくらい」相続するのかを相続人全員が参加する遺産分割協議で決めなければいけません。

もしもこの遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停、さらにそれでもまとまらない場合は同じく家庭裁判所での審判によらなければなりません。

さらに、相続税が発生する場合は、相続の開始から10か月以内に相続税の申告を行わなければならないので、短時間で遺産分割協議をまとめ、相続した財産の名義変更等を速やかに行わなければなりません。

相続税が発生する場合とは?

相続税は、相続する財産の総額から基礎控除を引いた金額に対して課税されます。
基礎控除額は、例えば、法定相続人が1人の場合なら3,600万円、法定相続人が2人の場合なら4,200万円となり、相続財産がこの金額を超えると相続税の申告が必要となります。

遺言書があれば

一方、相続が開始した時に遺言書があれば、その遺言書通りに遺産分割を行えばよく、スムーズに手続きが進むことになります。

遺言書がある場合とない場合の遺産相続の流れを比べると

遺言書がある場合とない場合の被相続人死亡後の遺産相続の流れを比べると、遺言書がある場合は、遺言書の検認手続き(公正証書遺言のほか、法務局において保管されている自筆証書遺言に関しては検認不要)を経て遺言書の内容に基づき遺産分割(遺言執行手続き)を行い、遺産の名義変更、相続税申告(遺産総額が基礎控除額を超える場合)だけで完了するのに対して、遺言書がない場合には被相続人の死亡後に以下の手続きが必要になります。

STEP
相続人の調査・確定
STEP
相続財産の調査・確定
STEP
必要な場合は相続放棄・限定承認の手続き

期間:自己のために相続が発生したことを知ったときから3か月以内

STEP
遺産分割協議

遺産分割協議が成立しない場合は家庭裁判所での調停、それでもまとまらない場合は家庭裁判所での審判

STEP
遺産名義変更、相続税申告(必要な場合)

これだけを見ても遺言書がない場合には相続手続きがどれほど大変かがわかると思います。

親族間のトラブル発生を防ぐことができる

「遺言書を書かなくても、うちの子たちは相続割合(法定相続分)のとおり仲良く遺産を分けてくれるだろう」などと考えて遺言書を残さない人が多数だと思います。

仮に法定相続分とおりで平等な金額で分けるにしても、預貯金や株式など現金化しやすいものから、不動産など現金化しづらく管理の煩雑なものまでさまざまあることから、残された相続人たちの間で、相続財産を誰にどのように分けるかで意見が対立することもあります。
このような話し合いの中で、それまで仲の良かった親族がいがみ合ってしまうことも起こり得ます。

また、被相続人に子どもがいない場合、両親や兄弟姉妹(その子どもの場合もある)などが相続人になるので、相続人の数が増えるほど戸籍の収集など必要な手続きが増えて、残された相続人の負担が増えることにもなります。

次の相続のときも安心

夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、預貯金や自宅などは残された配偶者と子どもたちが相続することになりますが、相続はそれで終わりではありません。

これは1回目の相続にあたりますが、将来的に残された配偶者が亡くなったときには2回目の相続が発生します。

2回目の相続では、子どもたちが相続人となりますので、1回目のように親主導で相続手続きを進めるということができず、そのために子ども同士の利害が真っ向から対立しやすい状況になります。

1回目の相続の時は、「母(または父)が亡くなったときにまた相続できるから今回は多少譲歩してもよいだろう」と考え、異を唱えなかった子どもたちも、2回目の相続では親から相続を受ける最後のチャンスになるので、できる限り自分に有利に話を進めようという心理ももちろん働くでしょう。

そのため、残った子どもたちだけ平和的に解決できる保証はどこにもないことになります。

ご自身と配偶者の亡くなったあとの将来をも見据えた遺言書を作成しておくことはとても大切なことです。

相続でトラブルが起きやすいのはどういうどき?

相続において、どのようなときにトラブルが起きやすいのか。
次に当てはまるようなケースではトラブルが起きる可能性が高くなるので、遺言書を作成しておくことをお勧めします。

  • 主な財産が不動産である場合
  • 再婚している
  • 子どもがいない
  • 事実上の離婚状態にある
  • 相続人同士の仲がよくない
  • 相続人と連絡がつかない
  • 相続人以外の人に財産を譲りたいと考えている
  • 障がいや認知症の症状のある家族がいる
  • 事業を営んでいる

当事務所では遺言書作成のお手伝いをさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

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